December 16


 THE SANTA'S PRESENT for WINTER HOLIDAYS : Colony EDEN

『……ニュースをお伝えします。コロニー標準時0時ちょうどより、《EDEN》西地区のエリュシオン公園で降り出した雪は、八時間経過した現在も止むことなく……』

 朝から何度も流れているニュース画像は、まるでおとぎ話の世界を映し出しているかのよう。
 生まれて初めて見る光景に、ママもチャーリーも朝からソワソワしっぱなし。
「ねえレベッカ、これって空調システムの故障なのかしら?」
「だからパパが帰って来ないの?」
 何度も繰り返される質問に、溜息を一つ。
「その話ならニュースでやってたでしょ? 中央制御システムの故障じゃないんだって」
 雪が降ってるのは公園の中だけ。もっとも、この《EDEN》の中で気候制御システムがあるのは公園エリアだけなんだから、当たり前の話なんだけど。って、これはシステム管理をしているパパの受け売り。
「公園の降雨装置が誤作動を起こしただけじゃないかって、さっきから散々言ってるじゃない」
「そうだったかしら? でも、素敵ねえ。おばあちゃまが言っていた通りだわ」
 確かに、画像で見る限り、雪の降り積もった木々は白く輝いていて、とてもきれいだわ。
 でもこれが「冷たくて」「楽しい」ものかどうかは、自分で確かめてみないとね。
「あら、レベッカ? そんなに着込んで、どこへ行くつもり?」
「公園よ、ママ」
「あっ、ずるいよお姉ちゃん。僕も行く!」
「あらあら、待ってよ。ママも行くわ」

 公園に行ったら、雪を丸めて雪だるまを作ろう。チャーリーと雪合戦をするのもいい。
 そして、目いっぱい雪を楽しんだなら、おばあちゃまに報告するの。
 おばあちゃま、サンタさんが雪をプレゼントしてくれたのよ。
 雪って本当に、白くて、冷たくて、とても楽しいものだわ! ってね。

Story by seeds



 DEAR SANTAシリーズ第一弾の後半部分。このシリーズは前半後半それぞれで独立して読めるけれど、繋げて読むとより深く楽しめるようにと、こういう二部構成にしてみました。決して、話数を稼ごうだなんて姑息なことは思っていませんよ(自爆)
 宇宙コロニーに起きた奇跡。パパサンタ大活躍、のお話です。
 多分この後、始末書をさんざん書かされたと思いますが(^_^;) 子供の笑顔に比べたら大したことじゃないですよ、ね(^^ゞ


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